RealFlight G3.5、FMS alpha 8.5、Phoenix R/C 5.5用のフォトフィールドの作り方

ラジコンフライトシミュレータ「RealFlight」や「FMS」や「Phoenix R/C」用の飛行場を写真で作成する方法を紹介します。普段自分が飛ばしている飛行場を写真撮影してシミュレータに表示することができます。これらの飛行場はフォトフィールド(Photo Field / RealFlight)とかフォトシーナリー(Photo Scenery / FMS)と呼ばれています。
概略の手順は、1)全方位の写真を撮る、2)全方位の写真を1枚の写真につなぎ合わせる、3)シミュレータ用の画像に変換する、4)飛行機の位置や地形障害物などを設定する、です。

1.用意するもの

1) デジカメ
広角のレンズで露出やホワイトバランスが固定できるものが良いと思われますが、安いフルオートのコンパクトカメラでも十分使えます。(各写真の露出やホワイトバランスの差はHuginで自動補正できます。)
1〜2回で360度撮影できるカメラもあります。非常に撮影が楽ですが、ネットに上がっている画像を見ると画質はとても悪いです。
RICOH THETA:http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/theta/
2) 三脚
必須ではありませんが、用意すべきでしょう。水準器などで水平が出せると更に良いです。安物で良いと思いますが、荷重量がパノラマヘッド+カメラに耐えられることと、シミュレータの視点の高さに合わせられる物にしましょう。RealFlightでは、三脚の高さ+パノラマヘッドの高さを、シミュレータの視点の最低高(183cm)以上にすることが必要です。
3) パノラマヘッド(パノラマ雲台)
必須ではありませんが、これを使用してノーダルポイントを合わせて撮影すると、合成作業が殆ど自動ででき非常に楽になります。下記のものが安くてお勧めです。水準器もついています。PAYPALが使えます。1週間で届きました(2009年2月時点 75.95+18(送料)US$ = 8,662\)。2013年に売られているものは、私が買ったものより改良されているようです。
この雲台は、縦位置の場合、取り付け面からレンズまでの高さが25cmあります。
http://gregwired.com/Pano/pano.htm(外部リンク)
参考:PAYPAL:クレジットカードの番号を店に伝えずにクレジットカードで支払いができるので、クレジットカードを不正利用される危険は少なくなります。但し、詐欺の店には注意しましょう。
https://www.paypal.com/j1(外部リンク)
その他の比較的安いパノラマ雲台(使ったことはないので、品質は不明)
4) パソコン:下記ソフトを使う場合はWindowsマシン
5) パノラマ写真の合成ソフト:例:Hugin
複数の写真からRealFlightやSimScene(FMS用)に読み込ませるパノラマ形式Cylindrical Image(横長パノラマ画像)を合成するソフトです。
http://hugin.sourceforge.net/(外部リンク)
上記のHugin_2009-4-0_win32_setup.exeが私の環境では何故か動きません。
HuginSetup_2013.0.0_64bit_Windows.exeは動きますが、デフォルトのHugin's CPFindでは写真の自動配置がうまく行きません。
http://padoo-padoo.blogspot.jp/2010/12/huginphotoshop-elementslittle-planet.html(外部リンク)
上記のバージョンでAutopano-SHIFT-Cを導入すると改善しますが、画像の角度入力をする為には個々の画像のダイアログを開く必要があり修正が面倒です。
http://adhuikeshoven.pbworks.com/hugin%C2%A0installer%C2%A0for%C2%A0Windows%C2%A0Vista(外部リンク)
http://hugin.huikeshoven.org/(外部リンク)
私は上記のHugin-SVN-3778-setup.exeを使ってます。これにはAutopano-SHIFT (S. Nowozin作)が最初から含まれており簡単です。SVN-4240も若干操作が異なりますが使えました。
6) ペイントソフト:例:GIMP 2.6.4
空を書き加えたり、サイズ変換、ファイル形式変換に使います。
http://www.geocities.jp/gimproject/gimp2.0.html(外部リンク)
http://www.gimp.org/(外部リンク)

2.三脚の目盛り作成

全方位を撮影できる角度に目印を付けておきます。これはやらなくても良いですが、やっておくと手早く撮影ができますし、後で撮影角度を楽に知ることができます。
なお、目盛りが付いているパノラマ雲台で、例えば45度ごとに撮影するのであれば、このメモリ作成作業は不要です。

1) デジカメの縦横のワイド端の画角を調べます。
f = 35mmフィルム換算の焦点距離[mm]
h = 24mm、w = 36mm、d = SQR(24^2+36^2)、x = h or w or d、( tan(a/2) = x/(2*f) )
画角 a = 2*tan^-1(x/(2*f))[rad] = 180/PI*2*tan^-1(x/(2*f))[deg]
2) 360度を画角の0.7倍で割ります。その値を正数に切り上げ、その値で360度を割ります。これが、撮影角度間隔になります。これで30%以上重なる写真を撮影できるはずです。
35mmの撮影角度例(EXCEL2003):TripodScale.xls
3) 上記撮影角度の間隔で線を引いた紙を作ります。私はJWCADで作図・印刷しました。
Panozaurus用目盛例(JWCAD JWWファイル):TripodScale35.jww
JWCADの配布元:http://www.jwcad.net/(外部リンク)
4) その紙に両面テープを貼り、丸く切り取って、雲台のパン軸とチルト軸に貼り付けます。

※ 別の方法「PanoCell」

こちらの方が簡単に撮影間隔を決められそうです。
V-Tails テスト版ソフト : http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~v-tails/delphi/panocell.html

3.撮影

レンズ(のノーダルポイント)ができるだけ同じ位置になるようにして、全方位の写真を撮影します。参考手順を以下に説明します。

1) RealFlightの場合はレンズの高さを約183cm以上にして撮影します。ずれていると、後で衝突判定のための障害物を設置するときに写真と合いません。
http://www.geocities.jp/aerohawk_7/realflight/(外部リンク)
FMSの場合は後で.scnファイルに撮影した高さを設定できます。例えば170cmで撮影した場合は、.scnファイルに1.7と記載します。Phoenix R/Cも後でカメラの高さ(地面の高さ)を設定します。
2) マニュアル機能が少ないコンパクトカメラの設定例
(1) ホワイトバランス
ホワイトバランスを固定
(2) フォーカス
空が大半の写真は、オートだとぼける場合があるので、無限遠に設定します。但し、Sonyのカメラを除きます。Sony DSC-W80でぼけました。Sonyにメールで写真を送って問い合わせたところ、無限大は天体撮影などに使用するもので、風景撮影では使用してはいけないとの説明を受けました。Sonyによれば送ったボケた写真は正常だそうです。DSC-W80で50m以上先の風景を固定フォーカスで撮影する場合、∞や7mではぼけます!! 3mか1mにするとピントが合います。もしくは、マルチのAFにして、マルチのエリアに風景が写るようにしなければいけません(35mm程度でのパノラマ撮影では困難ですが)。このように、Sonyのカメラの固定フォーカスの距離表示は、ずれているのが仕様なので注意が必要です。
雲台が写る写真は、雲台に焦点が合わないようにするため、マルチではなく中央重点かスポットに設定します。
(3) 露出
固定できない場合は、マルチ測光などに設定
(4) 画素数
f=35mm(35mmフィルム換算)で8192x4096の合成画を得る場合は、画素数を3M程度とします。RealFlightのインポートで生成されるDDSファイルは2048x2048になります。これが一般的なサイズです。もっと広角のレンズなら画素数を上げます。不必要に大きいサイズの画像では、パソコンでの処理時間が大幅に長くなります。
f=35mmで画素数6.3Mの場合は、13932x6966の合成画になります。PentiumM 1.4GHz、メモリ1GBでHuginの合成に約9時間掛かります。RealFlight G3.5のインポートは、メモリ1GBではギリギリで、約35分掛かります。生成されるDDSファイルは4096x4096になります。しかし、RealFlightで表示すると、画素数が減ってしまうので、Windows XPのPCでは2048x2048で十分でしょう。 ⇒ Windows 7以降のPCは性能が向上したので、RealFLightやPhoenix R/Cの場合は、合成画16384x8192、分割画4096x4096を推奨します。
(5) その他
ズーム:ワイド端、顔検出:OFF、フラッシュ:発光禁止、マクロ:OFF、手振れ補正:ON、ISO感度:ノイズが目立たない程度に上げるかAUTO(風による草木などのブレを防ぐため)
3) まず真上を撮影
4) そこからチルト目盛り1つ分下げ、パン目盛り間隔で上から見て右回りに1周撮影。
5) 一周したら、チルト目盛りを1つ分下げ、同様に撮影。これを続けます。
6) 最後に真下を撮影。(三脚を消す時は、三脚無しの写真も撮っておくと良いでしょう。この時、三脚の脚の部分などにマークとなる石などを置いておくと、後で位置合わせが楽になります。)

Tips

4.写真の合成

1) Huginを起動
2) アシストタブの(1)画像登録ボタンで撮影したファイルを全部指定します(後から追加削除も可能)。
3) 焦点距離に35mm換算の焦点距離を入れます。焦点距離換算係数に「1」を入れます。
4) (2)配置ボタンを押します。
5) プレビュー画面で合成結果が出るので、必要があれば中心(左クリック)や水平線(右クリック)を修正します。
空だけの写真の追加方法は、Add only sky Photoのページを見てください。
他の複数の写真で全て表示される重複した写真があると次のスティッチングでエラーが出るようです。
この場合は、プレビュー画面で、まず全部表示を消してから、一つずつ表示し、プレビュー範囲が増加しない写真を非表示にします。
非表示にしないで、「切り抜き」タブで、画像を切り抜いて、重なり部分を縮小する方法もあります。しかし、合成する写真の枚数を減らす方が、露出むらが出にくいようです。
※ 水平線が曲がった場合の修正
プレビュー画面で水平線となるべき点を右クリックしても直らない場合は、位置決めの基準とした画像の「Pitch(縦)」が狂っていると思われます。この場合は、「画像」タブで位置決めの基準とした画像の「Pitch(縦)」の角度を撮影時のチルト角に手修正し、「最適化」タブで、「最適化=位置(基準から1枚づつ)」にして「最適化を実行」して下さい。同じチルト角で撮影した写真の「Pitch(縦)」がほぼ同じになるように、「Pitch(縦)」の手修正を繰り返してください。上手く行かない時は、「Roll(回転)」も撮影時の角度にしてみて下さい。なお、同時にパン方向の角度も修正できます。
※ つなぎ目の段差が大きい場合
「最適化」タブで「最適化=位置(基準から1枚づつ)」にして「最適化を実行」した後、「全部」にして「最適化を実行」してみてください。
※ 露出むらや色むらが大きい場合
プレビュー画面で補正したい画像のみ表示した後、「露出」タブで、「普通のダイナミックレンジ、ホワイトバランス可変」にして、「最適化を実行」してみてください。
6) スティッチングタブで画角を360度、180度に設定します。(写真がそこまで無くても、このように設定します)
キャンパスのサイズは「最適なサイズを計算」を押して設定してください。(f=35mm、画素数3Mでは、8192x4096程度になります。f=35mm、6.3Mだと19946x9973になりますが、Import出来ませんでした。16384x8192ならImport出来ましたが、古いPCでは重くなるので画素数を減らした方がよいかもしれません。)
投影方法をEquirectangular(正距円筒)にします。
7) 出力を選びます(どちらかにチェックマークを付ける)
(1) 通常 ブレンドされたパノラマ : 露出が優先される印象。太陽が白飛びします。
normal.jpg(4829 byte)
(2) 露出合成(フュージョン) 露出合成されたパノラマ : 太陽は白飛びしないが、空にむらが出やすいです。
fused.jpg(4880 byte)
8) Enblendのオプションに「-l29」(l=小文字の半角L)を入力します。(指定を削除する場合は半角スペースを入力)
これは、合成のレベル(1〜29)を指定します。結果が気に入らなければ、無指定(=自動)もやってみて下さい。
9) ステッチングの実行を押します。これで、横長パノラマ画像(正距円筒図法(equirectangular)パノラマ画像)のTIFFができます。

5.空などの修正、ファイル変換

1) GIMPで上記TIFFを読み込みます。
2) 空など不足部分を書き加えたり、不用なものを消します。
Cylindrical Image(横長パノラマ画像)は、真上や真下の部分が延びていて編集しにくいです。従って、真上や真下はここで編集せず、後でCubicVR(立方体6面分割画)に変換後、編集した方がよいでしょう。RealFlightの場合は、後述するImport作業で、自動的にCubicVR(DDSファイル)に変換されます。「ファイル構成と足元の三脚の消し方」を参照してください。FMSの場合は、7.項のリンク先に記載してあるSimScene.exeでCubicVR(立方体6面分割画)に変換します。
3) BMPに変換。(FMSの場合は、非圧縮のTIFFでもOKです。)
RF_mat1.jpg(4083 byte) ※ RealFlightの場合、下側1/4をカットしたファイルを作り、RealFlightでImportすると自動的に足元にマットが敷かれます。これにより、面倒な足元の三脚消しの手間が省けます。但し、画像サイズは8000x3000(=4000x3/4)ではだめで、8160x3060(=4080x3/4)だと上手く行きます。

6.RealFlight G3.5への取り込み

1) RealFlightを起動し、Simulation、Import、Raw Panoramic Imageで、合成画像を読み込みます。
2) RealFlightの飛行場の編集機能で、各種設定をします。
設定方法は、Edit Photo Field for Real Flight G3.5のページを見てください。
水平線が傾いていた場合の修正方法は、RC UniverseのForumのImporting Panos for G3 -- A Guide(外部リンク)を見てください。
RealFlight G3.5の飛行場エディタは、PhotoFieldだと編集不可能な水平面が撮影点の1.83m下に存在しており、頂点編集や地形編集ができません。よって、正確にパノラマ画像にCollisionを合わせることが困難です。

7.FMS用の飛行場データの作成

FMSのフォトシーナリの作成」を見てください。ここで紹介しているpeff.exeはポリゴンの頂点を自由に動かすことが出るので、容易にパノラマ画像にポリゴンを合わせることができます。

旧版:Pano2QTVRを使用する方法です。QTVRを作ることができます。

8. Phoenix R/C 5.5への取込

パノラマ写真からPhoenix R/C 5.5用の飛行場を作る

9.その他

1)V-Tails/1分パノラマ フォトシナリー作成
サンプルデータを用いてパノラマ写真の合成方法を学ぶことができます。http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~v-tails/pano/hugin.html(外部リンク)

10.360°カメラ

横長パノラマ画像(正距円筒図法(equirectangular)パノラマ画像)を簡単に作れる360°カメラを使えば、非常に楽に撮影できます。パノラマ雲台と比較した場合のコストパフォーマンスは、非常に悪いです。

- RICOH THETA S
5376×2688のパノラマ画像(正距円筒図法(equirectangular)パノラマ画像)を作れます。3584x1792よりは良いですが、画質は悪いです。
- Kodak PIXPRO SP360 4K
http://www.maspro.co.jp/products/pixpro/sp360-4k/
2880x2880。半球なので2枚撮影が必要です。
Kandao QooCam 8K
https://www.kandaovr.com/qoocam-8k/
2019年12月発売。7680x3840です。
戻る

2017/08/17 Since 2009/03/22