ラジコンフライトシミュレータ「RealFlight」や「FMS」や「Phoenix R/C」用の飛行場を写真で作成する方法を紹介します。普段自分が飛ばしている飛行場を写真撮影してシミュレータに表示することができます。これらの飛行場はフォトフィールド(Photo Field / RealFlight)とかフォトシーナリー(Photo Scenery / FMS)と呼ばれています。
概略の手順は、1)全方位の写真を撮る、2)全方位の写真を1枚の写真につなぎ合わせる、3)シミュレータ用の画像に変換する、4)飛行機の位置や地形障害物などを設定する、です。
全方位を撮影できる角度に目印を付けておきます。これはやらなくても良いですが、やっておくと手早く撮影ができますし、後で撮影角度を楽に知ることができます。
なお、目盛りが付いているパノラマ雲台で、例えば45度ごとに撮影するのであれば、このメモリ作成作業は不要です。
- 1) デジカメの縦横のワイド端の画角を調べます。
- f = 35mmフィルム換算の焦点距離[mm]
h = 24mm、w = 36mm、d = SQR(24^2+36^2)、x = h or w or d、( tan(a/2) = x/(2*f) )
画角 a = 2*tan^-1(x/(2*f))[rad] = 180/PI*2*tan^-1(x/(2*f))[deg]
- 2) 360度を画角の0.7倍で割ります。その値を正数に切り上げ、その値で360度を割ります。これが、撮影角度間隔になります。これで30%以上重なる写真を撮影できるはずです。
- 35mmの撮影角度例(EXCEL2003):TripodScale.xls
- 3) 上記撮影角度の間隔で線を引いた紙を作ります。私はJWCADで作図・印刷しました。
- Panozaurus用目盛例(JWCAD JWWファイル):TripodScale35.jww
JWCADの配布元:http://www.jwcad.net/(外部リンク)
- 4) その紙に両面テープを貼り、丸く切り取って、雲台のパン軸とチルト軸に貼り付けます。
※ 別の方法「PanoCell」
こちらの方が簡単に撮影間隔を決められそうです。
V-Tails テスト版ソフト : http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~v-tails/delphi/panocell.html
レンズ(のノーダルポイント)ができるだけ同じ位置になるようにして、全方位の写真を撮影します。参考手順を以下に説明します。
- 1) RealFlightの場合はレンズの高さを約183cm以上にして撮影します。ずれていると、後で衝突判定のための障害物を設置するときに写真と合いません。
- http://www.geocities.jp/aerohawk_7/realflight/(外部リンク)
FMSの場合は後で.scnファイルに撮影した高さを設定できます。例えば170cmで撮影した場合は、.scnファイルに1.7と記載します。Phoenix R/Cも後でカメラの高さ(地面の高さ)を設定します。
- 2) マニュアル機能が少ないコンパクトカメラの設定例
- (1) ホワイトバランス
- ホワイトバランスを固定
- (2) フォーカス
- 空が大半の写真は、オートだとぼける場合があるので、無限遠に設定します。但し、Sonyのカメラを除きます。Sony DSC-W80でぼけました。Sonyにメールで写真を送って問い合わせたところ、無限大は天体撮影などに使用するもので、風景撮影では使用してはいけないとの説明を受けました。Sonyによれば送ったボケた写真は正常だそうです。DSC-W80で50m以上先の風景を固定フォーカスで撮影する場合、∞や7mではぼけます!! 3mか1mにするとピントが合います。もしくは、マルチのAFにして、マルチのエリアに風景が写るようにしなければいけません(35mm程度でのパノラマ撮影では困難ですが)。このように、Sonyのカメラの固定フォーカスの距離表示は、ずれているのが仕様なので注意が必要です。
雲台が写る写真は、雲台に焦点が合わないようにするため、マルチではなく中央重点かスポットに設定します。
- (3) 露出
- 固定できない場合は、マルチ測光などに設定
- (4) 画素数
- f=35mm(35mmフィルム換算)で8192x4096の合成画を得る場合は、画素数を3M程度とします。RealFlightのインポートで生成されるDDSファイルは2048x2048になります。これが一般的なサイズです。もっと広角のレンズなら画素数を上げます。不必要に大きいサイズの画像では、パソコンでの処理時間が大幅に長くなります。
f=35mmで画素数6.3Mの場合は、13932x6966の合成画になります。PentiumM 1.4GHz、メモリ1GBでHuginの合成に約9時間掛かります。RealFlight G3.5のインポートは、メモリ1GBではギリギリで、約35分掛かります。生成されるDDSファイルは4096x4096になります。しかし、RealFlightで表示すると、画素数が減ってしまうので、Windows XPのPCでは2048x2048で十分でしょう。 ⇒ Windows 7以降のPCは性能が向上したので、RealFLightやPhoenix R/Cの場合は、合成画16384x8192、分割画4096x4096を推奨します。
- (5) その他
- ズーム:ワイド端、顔検出:OFF、フラッシュ:発光禁止、マクロ:OFF、手振れ補正:ON、ISO感度:ノイズが目立たない程度に上げるかAUTO(風による草木などのブレを防ぐため)
- 3) まず真上を撮影
- 4) そこからチルト目盛り1つ分下げ、パン目盛り間隔で上から見て右回りに1周撮影。
- 5) 一周したら、チルト目盛りを1つ分下げ、同様に撮影。これを続けます。
- 6) 最後に真下を撮影。(三脚を消す時は、三脚無しの写真も撮っておくと良いでしょう。この時、三脚の脚の部分などにマークとなる石などを置いておくと、後で位置合わせが楽になります。)
Tips
- 空だけの写真は、コントロールポイントを見つけられず自動配置ができないので、できるだけ避けた方がよいです。この為、地上がぎりぎり写るようにして縦位置で空を撮影した方が良いです。カメラの画角が狭くて、空だけの写真が出来てしまう場合は、撮影角度を把握しておいてください。Huginで撮影角度を手入力して合成できます。
- 真下の写真の合成は、ペイントソフトで合成するのが良いでしょう。しかし、はっきりしたコントロールポイントが映っていれば、三脚部をHuginでトリミングして配置することにより自動合成出来るかもしれません?
- 三脚や雲台を使わない場合は、それぞれの写真が3割ほど重なるようにして、上段から時計回りに360度撮影します。この時、できるだけレンズの位置を変えないようにします。自動合成は上手く行かない可能性があり、合成作業が面倒になります。
- GPSやコンパスなどで撮影場所の位置と方位を正確に把握しておくと、RealFlightやFMSの飛行場の地形や障害物を作成する時にGoogle EarthなどのMAPを「すけふれーむ(http://s-mart.rgr.jp/gc/sukegazo/ (外部リンク))」で重ねて表示するときの位置合わせが楽になります。
- FMSは太陽の位置を変えることができないようです。よって、晴れているときにFMS用の写真を撮る時は、できるだけ太陽が高い位置にある時刻に撮影した方が影が不自然でなくなります。RealFlightは太陽の位置を変えられるので、この配慮は不要です。
「FMSのフォトシーナリの作成」を見てください。ここで紹介しているpeff.exeはポリゴンの頂点を自由に動かすことが出るので、容易にパノラマ画像にポリゴンを合わせることができます。
旧版:Pano2QTVRを使用する方法です。QTVRを作ることができます。
横長パノラマ画像(正距円筒図法(equirectangular)パノラマ画像)を簡単に作れる360°カメラを使えば、非常に楽に撮影できます。パノラマ雲台と比較した場合のコストパフォーマンスは、非常に悪いです。
- - RICOH THETA S
- 5376×2688のパノラマ画像(正距円筒図法(equirectangular)パノラマ画像)を作れます。3584x1792よりは良いですが、画質は悪いです。
- - Kodak PIXPRO SP360 4K
- http://www.maspro.co.jp/products/pixpro/sp360-4k/
- 2880x2880。半球なので2枚撮影が必要です。
- Kandao QooCam 8K
- https://www.kandaovr.com/qoocam-8k/
- 2019年12月発売。7680x3840です。